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 松本市梓川 大宮熱田神社 モミの木樹勢診断 県天

  • 樹勢診断の一部 総合診断をご紹介します。




画像の説明



  • 周辺環境
    • 当樹は松本市梓地区(旧梓川村)、梓川・犀川西岸 標高≒750m 大宮熱田神社境内に位置し、S37/9/27 文化財保護条例第2条の規定により、長野県天然記念物に指定されている。
    • 本社御本殿は室町時代建造であり重要文化財に指定されている。
    • 林内はスギ、ヒノキ等針葉樹類並びにケヤキ、ヤマグルマ等広葉樹類を含めた混合樹林帯であり、日照条件は比較的暗く陰樹及び半陽樹の樹木を主とする。
    • 樹高の高い樹木が多くその樹林帯を形成している。

  • 土壌の状況
    • 別紙土壌診断書のとおり

  • 大枝・幹の状況
    • 主幹梢端に、落雷(S8)による被傷からと思われる幹材質腐朽部分有り(写真No7)
    • 参道上部高位置に枯死枝有り*2ヵ所(直径20cm程度長さ2m~4m 目視による)(写真No8,No9)

  • 枝葉の状況
    • 当樹周辺にはヒノキ、ケヤキなど高木が多くあり、その樹木からの被圧影響が見受けられる。 (別添図参照)
    • 老木であり枝葉の大きさは全体的に小さく、密度も少ない。
      (着葉量の減少及び葉の小葉化)

  • モミ
    • モミは深根性(大径の水平根、垂下根型)で肥沃地を好み旺盛に成長する、
    • また耐陰性はかなり強い樹木である。
    • 樹齢は比較的短く250年以上は稀でる。又樹形の美的価値も壮年期に限られる。

  • 考察と処方
    • 外観からの地上部衰退度判定を行ったが、着葉量の減少、自然樹形の崩壊など目立ち衰退度区分は(Ⅳ)著しく不良で、尚衰退が進行していると思われる。
    • 当樹は樹齢600年前後、(ミッチェルの式によっても(樹齢=幹周(cm)/2.5= 260年を超える)老木であり、全国的にも貴重木である。
    • 樹種の特質及び、衰退度など、当樹樹齢を考えれば今後も衰退を余儀なくするものと思われるが、その保全処置、処方等により衰退を免れ、樹勢を保ち現状維持できるものと推測される又、貴重木であるが故、より一層の処置保全等が必要である。
    • 1,主幹梢端腐朽について
      • 昭和8年落雷により梢端を被傷し、枝払いなどの処置を施されているが、その被傷部分より下部に幹辺材材質腐朽が見られる。
      • 高位置(H40m前後)の為双眼鏡による確認のみであるが、梢端より2~3m下部まで進行しているものと推測される。(写真No7参照)
      • 腐朽が進行性か否か等詳細はその地点まで行かないと不明ではあるが、腐朽部置、又、場合によっては幹芯止め等の上、殺菌、防菌剤塗布などの処方が必要である。
    • 2,枯枝の除去
      • 高さ33m付近及び19m付近に北側に伸びる(L≒2m前後)、直径15cm~20cm程度の枯死した中枝が確認できる。(写真No8,9参照)
      • この地点は参道上部にあたり材質腐朽の程度によっては危険枝となりかねず枝元からの除去及び殺菌、防菌剤塗布などの処方が必要である。
    • 3,被圧木処方
      • 当樹は周辺にある樹木による被圧の影響により、枝など伸張量の制限を受けている。
      • 当樹は陰樹であり耐陰性は強いものの、周辺樹木の光を求めた競争は熾烈であり当樹枝葉の伸張を妨げているものと推測できる。(別添図参照)
      • 被圧木の伐採 ヒノキ(イ) 各被圧木支障枝の枝払い及び被圧木芯止めの処方を要す。
    • 4,土壌改良について
      • 当樹周辺には構造物として鉄柵、崩れ石組、石碑、鳥居、石畳などあり、支障と思われる構造物を撤去し、新たに必要面積(最低樹冠範囲)を備えた柵を設けるには、相当の経費を見込まなければならず、かかる負担は可也である。
      • また社における祭礼祭祀にも支障を来すこと考慮すれば現実的でないと考えらる。
      • 植栽基盤に於ける土壌診断では、北側参道付近に踏圧からの路盤固結状況が認められるが他の土壌状況は良好である。
      • 壺穴割竹式土壌改良法により地下深層部への吸収根の発達、空気の流通を計る対策が経済的、効率的に良い。(別添図参照)